宿泊者だけの上高地

中の湯から上高地間の県道が車両通行止めとなる夜間~早朝の上高地。
灯りに乏しく月の無い夜は漆黒の闇、夜空には無数の星が輝く天然のプラネタリウム。
森ごと包まれる早朝の朝もや、燃えるように朱に染まる朝焼け、微かに水の流れる音以外には何も聞こえない静寂。都市に暮らす人々にとっては想像もできないこれらの感動は、上高地に宿泊しなければ体験できません。

上高地の夜

3,000m級の高峰に囲まれた谷間、光々と灯りを灯す街灯は河童橋に1ツ限り。半径30km以内に大きな都市は無く、限られた数の施設の灯りも豊かな木々が遮る上高地では、月明かりの無い夜は漆黒の闇夜

建物も多く唯一の街灯のある河童橋周辺は多少明るい

満天の星空というありきたりな表現では言い表せないほどの光り輝く無数の星に感動を覚えずにはいられないでしょう。

芥川龍之介の小説「河童」を読んだ方なら、舞台となった河童橋で一説を想い「河童がこっちを見ているかも…」などと感慨に耽るのもさぞ楽しいことでしょう。

数分歩くと施設の放つ灯りも届かない闇が待っています。夕食の後は防寒着を羽織り、ライトを片手に昼間とは違う上高地散策を是非お楽しみください。

身体ごと森ごとモヤに包まれる朝

濃い朝靄だと画像的には真っ白なのでww

写真でよく見る朝靄に包まれる幻想的な大正池だけでなく、田代池・河童橋・明神・徳沢…いずれの地でもほとんど人の気配を感じない中で朝靄に包まれると、自然に神秘を感じ、感動を覚えずにはいられないでしょう。

梓川右岸側の山々が朱に染まる朝焼け、微かに水の流れる音以外には何も聞こえない静寂。朝靄だけでなく早朝はまた違う表情の上高地です。

早起きして朝食の前に是非散策を楽しみたいですね。

翌日は上高地を望む登山は如何?

翌日は上高地を望む著名な場所“焼岳”または“徳本峠”へ出かけてみませんか?
いずれも本来はかなりの時間と体力、ある程度の技量を求められる場所。でも、上高地での宿泊者に限っては比較的容易に行ける名所です。

上高地側からなら焼岳も比較的容易に登れます

大正池畔の活火山、頂から白い煙を上げるあの“焼岳”へは河童橋から片道およそ5km・標高差約950m。ハシゴ場や鎖場もあって本格登山の雰囲気は十分。間近に噴煙を上げる火口、ぐるりと見通せるアルプスの山々、眼下に望む上高地…。(往復標準8時間)

徳本峠(とくごうとうげ)は、かのウォルター・ウェストン卿が初めて上高地を訪れた際、穂高連峰を中心とする北アルプスの景観に感涙したと伝わる場所。河童橋から片道およそ6.5km・標高差約600m。(往復標準5時間)

元々この2点は上高地への入山ルートとして通る場所。上高地からなら登山に不要な荷物は全て宿で預かってもらって最小限にできる、天候や体調次第で中止、体力や技術に不安を感じたら引き返せるなどの点から、泊まった人に限って一般人でも比較的容易な登山になるのです。
具体的なコースなどは検索などで調べていただくとして、徳本峠、焼岳は途中で山小屋が営業していて飲料他を補給できる点や、天気予報より具体的な天候を確認して出かけられること、前夜にお宿の方に相談したりアドバイスをしてもらえる点も安心。

日帰りでは体験できない上高地の夜~早朝。この時間帯に上高地の真髄を見るようにも思えます。